



ご提供いただいた臓器が、移植を希望する方に適切に渡るよう調整するあっせん業務が主な仕事です。
1件のドナー情報の対応にかかわるコーディネーターは約10名。ドナーが入院している病院で業務を行うコーディネーターと、社内で調整を行うコーディネーターに分かれ、チームを組んで担当します。
病院から、臓器提供についての説明を希望するご家族がいらっしゃるとの連絡を受けると、すぐに向かいます。ご家族に臓器提供について説明し、ご提供いただくことが決まったら、ドナーの医学的管理が適切に行われるように病院の医療スタッフと連携します。
また、検査の手配や手術室の調整をするなど、家族に寄り添いながら、気持ちのケアを行います。
一方、社内にいるコーディネーターは、レシピエントをルールに従って選び、移植施設に連絡して最終的なレシピエントを決定します。
また、様々な機関と連携を図りながら、臓器をどのようなルートで搬送するかなどを決めます。


ドナー情報の対応は24時間いつ起こるか予測ができませんが、あっせん業務以外にも、コーディネーターにはたくさんの仕事があります。
臓器提供から移植までの一連の手続きが終了した後は、報告書の作成、レシピエントからのサンクスレターをドナーファミリーへ届けるなど事務を行います。
日頃は、学校で移植医療についての講義をするほか、病院での勉強会の資料作成などデスクワークにも多くの時間を費やします。

看護師として集中治療室に勤務していた頃、おふたりの患者さんとの出会いがありました。おひとりは、重症心不全の患者さんで、看護師として何もすることができないまま最期を迎えられました。もうおひとりは、急激な肝不全に陥った10代の女性でした。父親の肝臓の一部の提供を受け、その後元気になって学校にも通えるようになりました。移植医療の必要性をとても感じたと同時に臓器移植コーディネーターという仕事に興味を持つきっかけとなるできごとでした。
今は、移植を受けた方が元気になったり、臓器提供をされたご家族の方が「移植を受けた方が元気でいることが家族の支えです」とおっしゃるのを聞いて、少しでもお役に立てたならよかったと心から思います。

臓器移植は、医療機関だけでなく、さまざまな関連機関との連携が不可欠です。例えば、臓器提供に関わる血液検査を行う検査センター。その他、臓器を搬送する際には、警察、民間の航空会社とも連携します。
臓器移植コーディネーターがどんなに「患者さんやご家族の臓器提供意思をかなえてあげたい」と思っても、ひとりではできません。コミュニケーションを重ね、組織を超えて協力し合うことの積み重ねがあってこそ、いざという時にスムーズな仕事ができるものだと思っています。
こうした、チーム力があってこそ成り立つ医療であることにやりがいを感じます。

私たちは患者さんとそのご家族、医療機関の医師や看護師、関連機関の方々など、たくさんの方との出会いがあります。特にご家族とのコミュニケーションにおいては、話し方や表現を変えてみたり、ご家族に寄り添う時間を増やしてみるなど、常にどのような関わり方がいいのか、模索をしながら関係性をつくっていく必要があります。
こうしたすべてのコミュニケーションが学びの機会であり、人の多様な考えを知ることができる貴重な経験です。相手の話をじっくり聴くことで、表現や言葉の引き出しが増えたように思います。

公益社団法人 日本臓器移植ネットワーク あっせん事業部副部長。看護師から臓器移植コーディネーターに転職。




私は、今までの経験があるからこそできること、今の自分にしかできないことがあると考えています。どんなときでも誇りを持って働ける環境を見つけることはとても大切ですね。私自身、臓器提供を希望される方の思いをかなえるこの仕事がとても大切だと思っています。
仕事のいろいろな場面において、時には怒ったり悲しんだりと、人の感情に接する機会があると思うのですが、いつも人の話に耳を傾けて、聴き上手でありたいですね。また、オンとオフの時間を意識して、自分自身がリセットできるような空間をつくることも大切ですよ。